『こんなにおもしろい 行政書士の仕事』佐野秀雄・佐野誠
この本の第2版は、亡くなったばかりという佐野秀雄氏との連名であった。
版を重ねるごとに、進捗をそのまま伝えるかのように、書きかえているようだ。
体育会もびっくりの100社は説明会やらエントリーを就職活動した筆者であるが、結局大学院を追われるまで就職はしなかった。
モラトリアムではない、必死に英文の書籍や論文を読み、書き、仕事だと思って死物狂いで院生をやっていた。
佐野誠氏が就職活動をやめた当時の私の気持ちを代弁している。
こんなことを繰り返すこと47社目……。体育会系だったので体力的には問題なかったのですが、だんだん就職活動に嫌気が差してきました。ほとんどの会社で落ちまくったおかげで、業種を問わずさまざまな会社を見ることができましたが、「この会社に入って仕事をしたい!」と本気で思える会社は1つもありませんでした。
実際に発言するとお叱りを受ける内容です。それぞれの会社には一応の物語があり、夢がある。
お父様が既に行政書士事務所を成功させていたことの甘えもあったのかもしれないですし。
でも私が思い出すのは、他の学生が憧れる大手広告会社だとか、商船会社だとかの「内定」を報告してくる友達のドヤ顔だ。
私は法学部だったから周りはロースクールを目指す人も多くて、そういう「人気の」会社のトレンドもわからずにいたし、今思うと入社しておけば人生変わっていたなという会社の面接や試験と、心がまったく通わなかった。
大学院もサイアクだった。
良い教授陣には恵まれたけど、課題論文ひとつ満足に読んでこない学生たちの相手をする姿には憧れなかった。
そして心身の調子を崩して、大学院を辞め、たまたまとある会社に拾ってもらった。
研究自体は刺激的だった。
目を輝かせている人たちってどこにいるんだろうと思った。